WP_Ch.2_論証の読み方 How to Read an Argument (p.21)
〔p.21和訳〕大方の場合、哲学の読み書きとは論証 arguments の読み書きである。というのも、論理学的な論証こそが哲学の核心だからである。我々が哲学をおこなうとき、我々はたいてい、論証を評価しているか構築しているのである。我々が読む哲学は論証を含む可能性が高く、かつ、そのテキストに対する我々の理解の成否はそれらの論証を特定し、理解する我々の能力にかかっている。〔読むのと並行に書く場合も〕ほとんどの場合、我々が執筆する哲学エッセイの品質は、我々がこしらえる論証の品質に大いに依存する。だとすれば、論理学的な論証の基礎を学ぶことこそが、哲学を筋が通ったものとし、良質な哲学論文を執筆するための一要件である。第二章では君に正しい方向を示すが、それは、君に論証的でない散文の数節から論証を抜き取るやり方、異なる種類の論証の品質を評価する方法、良質な論証の編み出し方、そして君がキズのある論証を見たときそれに気づく方法を見せることによっておこなう。
論証を構成する部品である二種類の命題、すなわち結論となる命題とそれを支える前提である諸命題の関係について説明する。
ここでは第1章のRule 1-5(論証を評価し、仮の判定を構成せよ)を実践するために、さらに詳しく掘り下げて方針と手続きを説明する。
長い論証文を実際に検討し、評価を下してみましょう。
論証の分析の手順
1. 手順:論証の結論を見抜く(Rule 1-3 最初に結論を特定し、それからその結論を支える諸前提を特定せよ)
2. 手順:論証のアウトラインを抜き取り、箇条書きにして並べる(Rule 1-4 論証のアウトラインを描け)
3. 手順:アウトラインをパラフレーズして明確にする(Rule 1-4 言い換えをおこない、要約せよ)
4. 手順:ルールを適用する。まず演繹的論証か帰納的論証か、そのどのタイプかを判別し、導出できるかどうかを確認する(Rule 2-2 結論が諸前提から導けるか否か判断せよ)
5. 手順:ルールを適用する。前提の事実性を確認する(Rule 2-3 諸前提が真であるかどうかを判断せよ)
6. 手順:分析の結果をみて、仮の判断 Tentative Judgement を下す(Rule 1-5 論証を評価し、仮の判定を構成せよ)
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